7日間の恋
―Side 稲葉翼―
さっきから結衣ちゃんが真剣過ぎて少し怖い。
僕のキモチを見透かされているんじゃないか、そう思うと不安でならない。
だって、そうだろ?
こんな30越えたオッサンに好意を持たれたって結衣ちゃんが困るだけ。
そんなこと、僕は分かってる。
だから、このキモチを言うつもりなんてなかった。
さっきまでは…なかったんだ。
今日、リハビリが終わり部屋に戻ると津川が遊びに来た。
『お前も暇だな』
なんて言うと津川は笑い言う。
『稲葉の相手しにきてやってんじゃん』
なんて生意気こきやがって。
『ってかさ、僕…お前に言った?
結衣ちゃんが好きだ、なんて』
コイツ、僕が怪我をしていることをいいことに結衣ちゃんにおかしなことばかり言うんだ。
『いや、言ってない。
でもお前、分かりやすいし。
実際、結衣ちゃんのこと好きなくせに』
津川はケラケラと腹を抱えて笑い出す。
『もう出てけ、津川』
俺は赤くなっているであろう頬を手で隠す。