7日間の恋





『はい、じゃあエビみたいに背中丸めて~』


手術台の上で丸くなる私。



『ちょっと背中、チクッとするよ~』

そんな麻酔医の先生の声が聞こえて背中がチクッとした。


急に腰のほうが痺れてきて。

ヘンな感じだった。



私の知識の上では麻酔は神経を麻痺させる働きがある。


と、言うことは足の指は動かなくなると言うことなんだろうか。



そんなことをふと思い、指を曲げようと思った。


それなのに…


「………………?」


もう足の指は曲がらない。


普段でもこんな意識して指を曲げようとはしないが今日は別。

とにかく念じた。


指…ゆび…曲がれ!

って。


でも、いっこうに足の指は曲がらない。



しかもなんだか両足ともビリビリと痺れていて。

少し、息苦しくなってきた。


私の麻酔は下半身だけ。

それなのになぜかものすごく眠くなってきて。



「どう?気持ち悪くない?」

手術看護師さんに声をかけられる。



「あ…大丈夫です。

でも、眠いです…」


少し恥ずかしくて照れ隠しで笑う。


そうすると看護師さんは笑いながら


「いいよ、寝ても」


そう言った。


その言葉に甘えて私はひざにメスが入る前に寝てしまったのだ…










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