7日間の恋





『ゆっくりでいいよ~』

そう言われ、私は足に力を入れて飛び上がる。


少し後ろに倒れそうになって焦ったが
後ろから稲葉さんが支えてくれる。

触れられた背中が熱くて。

火照った頬が熱くて。


松葉杖を握った手が少し汗ばむ。



『気抜いちゃダメでしょ~

はい、もっとしっかり』


ゆっくりと頷き残りの2段を順調に昇って行く。

想像以上にキツかった。


足首を骨折していればひざが曲がる

だからケンケンで階段を昇って行くことができたかもしれない。


でも私が骨折した箇所はひざ

曲がらないから足を伸ばした状態で昇っていかなくちゃいけない。


それは右足と両腕にかなりの負担をかけることになる。


知らないうちに汗をかいていて。

暖房を切ってほしかった。



『はい、次降りて~』

上で回れ右をして昇った階段を降りる。


まだ下りのほうが楽

でも目の前には転倒防止のために稲葉さんがいる。


こんなことならまだ、後ろにいてくれたほうが助かったのに。

俯いて順調に降りていく。


でも息は切れていて。

自分の体力のなさに腹が立った。






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