7日間の恋
「入院して…手術して…
何かもビックリするくらい早く進んで行って。
立ち止まってる暇なんかまったくなくて。
だからリハビリで稲葉さんに出会えてよかった」
どうして?と、稲葉さんが優しい声で聞く。
「だっていっぱい立ち止まれたから
稲葉さんは…立ち止まってもただ横にいてくれて。
何も言わないでくれたから。
でも」
ここで私の「でも」が出る。
ただ、稲葉さんの表情は変わらない。
「でもリハビリはイヤだった。
自分の足が動かない事実をイヤでも受け入れなくちゃいけなくて。
左足に力を入れることができない、って。
信じられなくてもそれが事実で。
リハビリすればそれが露わになるばっかりでいいことは何1つなかった。
だからリハビリは…なるべくやりたく…なかったです」
途中で、稲葉さんに申し訳なくなって小声になってしまう。
だってリハビリの先生に
「リハビリやりたくなかった」
なんてはっきり言うのは…なんか、ね?
でも稲葉さんは笑っていた。
そして言ったんだ。
『もっと…我が儘、言ってごらん?』
って。