僕の顧問自称殿-そろそろお名前教えてください!-
「へえ、キミ、字うまいねえ、意外と」

 ……こらえて。

「ええ、まあ。両親が書道の師範なもので」

「ふうん。辛気臭い顔してても、字ってうまくなるもんなんだねえ」

 失敬な! こいつ、教師じゃなかったら、タコ殴りにして、その自慢な顔に存分に落書きを施し、締め上げ、電柱にはりつけてやりたい。

 駄目だ、駄目だ。こういう黒い思考は、不幸を招く。

「まあいいや。
今日からキミは、風水研究部の部員だ。
そして、喜べ。顧問は、俺さ」

 え。風水? どういう……。

 殿は、記名されたプリントを取り上げ、僕の目の前で二つ折りにしてあったそれをかさりと広げた。

 『入部届け』確かにそう見える。
 折られて、見えなかった半分にそう書いてある。

「ちょっと……、殿、これ、欠席届けじゃ……?」

「あー、あー、あー」

 いい大人が両耳に人差し指を突っ込んで「聞えませーん」をやるな!

「HAHAHA!! もう何を言っても遅いぞ。入部届けはここにある!」

 いや、なんというか……騙された?

 その前に、風水研究部ってなんだ。

「と、いうことだ。重ねてよろしくな!
……達筆!!」

 は? 達筆?

 

 

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