*youth*












幸の病室に行くと、目の前で幸は苦しそうに倒れていた。







「ゆうっ…ちゃ・・・・っ」



「さち!?」





俺は何がなんだか分からないまま、ひとまず幸をベッドに移した。







幸は泣きながら呼吸混乱に陥っている。





加呼吸だ。





俺はカバンの中から学食で買ったパンの入っていた紙袋を出し、


幸の口に当てた。






「落ち着け!息を吸うな!」





幸は聞く耳を持たない。





「幸!止めろっ!もぅ俺がいるから安心しろっ!」






俺は幸の髪をゆっくりと撫でた。





すると、幸の呼吸は少しずつゆっくりになった。



「おしっ!焦るなぁ~。落ち着いたまま、ゆっくりぃ~。」






幸の呼吸は整い始めた。







「悠ちゃん…。」






「喋っちゃダメっ!」






「ひぃちゃんが…。」





ヒカル??









幸はまた何かを言いたがっている。






「ダメッ!まだまだ喋んな。今は幸の体が優先。」





幸は辛そうにうなずいた。








窓から小さな風が吹いた。



あれ?窓なんて空いてたんだ。




俺は小さな風で足下に転がってきた赤色のコスモスを拾った。




幸の手にはずっと白色のコスモスが俺を見つめている。







幸・・・・・








ヒカルといったい何があったんだ??












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