*youth*
~Hiroki~
もぅ冬かぁ~。
早いなぁ~。
そんなようなことを考えていた。
ドアを開けると幸ちゃんはぼーっと外を見ていた。
「あっ、広さん。こんにちは♪」
幸ちゃんはニッコリ笑って、手を小さく振る。
まぶたは腫れていて、少し顔色が悪かった。
「幸ちゃん…。」
俺はベッドの隣の椅子に座った。
「何に対して辛い…?」
幸ちゃんは目線を俺から足に移した。
「一番の原因はこの足だけど、
今、一番辛いのは悠ちゃんとのこと。」
やっぱりな。
「私ずっとこのまま歩けないままでしょ?
だから、雄ちゃんとずっと一緒にいるわけにいかないと思う。
悠ちゃんには健全な人が合うと思うから。」
幸ちゃんは淡々と話した。
「だから、私にとって、今が潮時。
もぅ悠ちゃんと一緒に居れただけで、幸せ。」
幸ちゃんは下を向いて笑う。
でも、バレバレだよ。
泣いてるってことは。
「…別れるの?」
幸ちゃんは下を向いたまま小さくうなずいた。
「じゃあ、俺のケータイ貸してやるから、今ここで別れて。」
俺はポケットからケータイを取り出し、幸ちゃんに差し出した。
「えっ…今は…」
「どうせ別れるんだろ?だったら、ズリズリ引きずるより、
きっぱり今言ったほうが楽だろ?」