*youth*
幸ちゃんはうなずいて、
俺のケータイを受け取った。
「番号分かる?」
「うん。」
幸ちゃんはゆっくりとボタンを押す。
俺は黙ってそれを見ていた。
そして、幸ちゃんはケータイを耳にかざす。
でも、すぐに電話を切り、俺にケータイを渡した。
「やっぱり無理!」
幸ちゃんは顔を手で覆う。
「別れたくなんかないよ…」
俺は幸ちゃんの頭を撫でる。
心の中でホッとした。
「幸ちゃん。良いこと教えてあげる。」
「へ…?」
幸ちゃんはぽかんと口を開ける。
「ゆうすけ、一回だけ幸ちゃんの事で泣いた事があるんだよ。」
そして、一呼吸置いてから言った。
「幸ちゃんが事故にあったとき、ゆうすけは病室で泣いたんだよ。」
「え…?」
幸ちゃんは理解出来てない様子だった。
「だから、ゆうすけを裏切るような事は言わないで?」
俺は微笑んで言った。
「・・・・・。
はいっ!」
幸ちゃんも笑って元気に答える。