*youth*
~Yusuke~
俺は夕方の薄暗い道を走る。
冬って、暗くなるの早いなぁ~って思いながら走ってた。
病院に行くのに通る中央通りはイルミネーションが凄くて華やか。
植木が可愛い灯りをともすツリーに変身して、
電線にも小さなライトが付き、一本の輝くラインがまっすぐ伸びる。
大人ぐらいの身長のサンタクロースの置物が歌いながら躍り、
その隣で輝くトナカイがリズムに合わせて首を左右に振る。
俺はそのキラキラ光るイルミネーションに見とれて足が止まった。
幸にも見せてあげたい…。
そういや…俺、幸をどこにも連れてってねぇや。
遊園地や水族館。
海やプールや動物園や。
幸と一緒に行きたい所は山ほどあるのに。
「見て…!あのオルゴールきれいっ!」
俺の隣で楽しそうにカップルが笑っている。
カップルの目線の先には
オルゴール館のガラス窓に映る天使をモチーフとした小さなオルゴール。
俺はそれを横目で見て、また走り出した。
幸はまだこの世界を見てない。
だから、見せてあげたい。
キラキラ光るイルミネーションを。