*youth*
~Sachi~
「さっちぃ~?何も見えてないよね?」
「目隠しされてるから見えないよ。」
私は今、なぜか悠チャンにタオルで目隠しをされ、
車椅子でどこかに連れて行かれてる。
病室に来た悠チャンがいきなり“出掛けるよ!”と言い出し、
訳が分からず、マフラーの入った紙袋を持ち、コートを着させられた。
「よしっ!着いた!ちょっと待ってて!
あっ、まだタオル取っちゃダメだよ。」
そぅ言って悠チャンはどこかへ走った。
急に風が冷たくなる。
ここ…どこ?
暗闇で何も見えない。。。
「さっちぃー!タオル取っていいよぉー!」
遠くから悠チャンの声が聴こえた。
私は言われるがままにタオルを取った。
すると…目の前にキラキラ光るものが見える。。。
Happy Birthday・・・
ここはいつもの土手で、
向こう岸にイルミネーションで使われる電灯で
『Happy Birthday』という字が書かれている。
「さっちぃー!ハッピーバースデェー!!!!!」
『y』と『B』の間にいる悠チャンが私に手を振る。
「ありがとぉ…」
感動のあまり声がかすれて出ない…。
悠チャンは嬉しそうにこっちに走って来て、
子供のように無邪気に私に笑いかけた。
「商店街の人に電池式の電灯を借りたんだ♪
あんなに使ってるから少しぐらい余ってると思って。」
「悠チャン…ありがとぉ…」