*youth*
出発
~Yusuke~
元旦。
久しぶりに広兄は病室に入ると
「お久しぶりです。武田先輩。」
いかにも棒読み感あふれる仏頂面の桜がお出迎えしてくれた。
俺は幸とヒカルと広兄とおまけに桜を連れて、
近くのお寺に初詣に行くことした。
「南葉くん、綿飴買いに行こぉ!」
「うん!」
ヒカルと桜はそう言って、人波の中に入って行った。
その後ろのほうにいる俺たち3人はボケーッとベンチに座り、
たこ焼きを食べていた。
「でもさぁ、桜、まだ輝のこと諦めてないんだな。」
広兄はコーヒーをすする。
「いいんじゃん?ヒカルも嫌じゃなさそうだし。」
「えっ・・・でも、輝って、あっちの学校で好きな人出来たんじゃないのか?」
「ええええーーー!!!!??」
俺と一緒に幸も驚く。
「いや・・・そういう事は、お前達のほうが詳しいんじゃないの??ww」
幸は俺を見て首を振り、俺は広兄を見て首を振った。
「いや…これは我が息子を思う父親としての勘だけど。
幸ちゃんにベッタリじゃなくなったのも、その表れじゃないか?」
「あ~、確かに。」
それは納得する。