*youth*









~Sachi~



リハビリセンターの中庭には、


黄スイセンが花壇で歌うように咲いている。




それを歩行動作トレーニング室の中から眺めてる私は、


長くなった髪を束ねて1つに結ぶ。



よしっ!と自分に気合を入れて看護師さんに目で合図した。





「じゃあ、始めるね。」


施設の看護師さんは若い女性の人が多い。


だから、話しやすくて良かった。




私は歩行練習用のランニングマシーンの前まで連れてこられた。


ランニングマシーンの手すりには

上半身を固定する分厚いベルトが両方に付けられている。




「まずは足で歩く感覚をつかんでいこう。」



そう言うと、看護師さんは私の体を支えながら、


ゆっくり私をランニングマシーンの前に立たせ、ベルトで腰回りを固定させた。




ベルトで固定された私は手で手すりを持たずに立てることが出来た。





久しぶりに・・・この高い景色が見れた・・・




窓の向こうの黄スイセンはさっきより小さく見える。




低い目線からじゃ見えなかった遠くの花壇も見える。






車いすに乗っている時とは違う・・・



健康な人だったら普通に見ることができる景色





それがこんなにも眺めが良いものなんて気づかなかった。




はやく、この世界を自分の世界にしたい。。。






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