マジ恋愛☆~ブラックキャットにご用心!?~
どのくらい走ったか………
「はぁ、はぁっ………きっつ」
「ここまで来ればもう追っかけて来ないだろうから」
やっと離れた手。
乱れた呼吸を整えようと、膝に手を付き、肩で大きく息を吸う私。
見えるのは足元の、パンツの裾から覗いてるスニーカー。
某メーカーの黒地に赤のラインが見える。
一方あんだけダッシュしたのに、呼吸一つ乱れていないこの影。
誰よあんた。
「はぁっ……」
ようやっと顔を上げた私が見たのは……
辺りをキョロキョロする男………の子?白いパーカーに黒いダウンベスト。
黒い髪はちゃんとセットしてあって背は私より高いし、結構がっしりしててそれはそれでいいんだけど………
なんか……幼くないかい?
「待ってて。今タクシー拾うから」
「あの…」
「ん?」
「あなた……いくつ?」
私のストレートな質問に、キョロキョロしながら答える。
「おれ?14歳。中三」
「中坊?!」
どおりで幼い訳だ。納得。
「なんで助けてくれたの?」
「ん~……わかんない。身体が勝手に動いちゃったし」
「何かお礼させて」
「そんなの別にいらない。たまたま塾の帰りに通り掛かっただけだし……あ!」
大きく手を挙げると、調度よくタクシーが停まる。
「乗って。真っすぐ帰ったほうがいいよ、またつかまるといけないから」
タクシーの戸の前でニコッと笑った顔がなぜだかとっても可愛くて。
私が乗り込む前に、彼をタクシーに押し込んじゃった。