沫雨の雪
沫雨
ピー ピー


それは、雪山でのことでした。

二人の男の前には一人の少女が横笛を吹いていました。

少女は、髪も肌も着物までもが雪のように真っ白でした。

ただ、目は、黒目がちの大きな目で光がありませんでした。


ピー ピー・・・


不意に横笛が止みました。

少女は男達の方・・・前を真っ直ぐ見ました。

男達は驚きました。

なんと少女の口から血が流れ出ていたのです。

一人の男が手当てをしようと少女に近寄りました。

が、少女の手が氷に変わり、近寄った男を刺し殺しました。

もう一人の男は悲しみました。

一緒にいた男が死んだからではありません。

少女が人を殺めてしまわなければならないことに。



そして、少女に感情がないことに・・・。
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