オレンジ色の奇跡
第1章
出会いは突然に
「おねーちゃあんっ!! もっとたーかーくぅーっ」
「よおしっ!お姉ちゃん頑張っちゃうよっ」
夕方、どこかの小さな公園で、小学2、3年の男の子のブランコを押す。
その子のきゃっきゃっと喜ぶ声が嬉しくて、何度も何度もその小さな背中をそっと押してあげた。
「ユウター? 帰るわよー?」
少し遠くから女性が呼んでる。この子のお母さんかな?
「ぼく、ユウタくんっていうの?」
「うんっ! ぼく、たかはしゆうたっていうのっ」
「ユウタくんママが呼んでるよ。そろそろ帰ろうね」
ブランコをゆっくり止める。しゃがんでユウタくんの頭を撫でれば、子どもらしい無邪気な笑顔が返ってきた。
「おねぇーちゃん!ブランコおしてくれてありがとっ!また、遊ぼうね?」
「また今度ね! でも、ブランコはひとりで乗ると危ないからママに押してもらうんだよ?」
ばいばーいっ、と元気よくお母さんのもとへ駆けていった小さな背中を見て、自然と笑みが零れた。
やっぱり子供は可愛い。 子供って素直だし、一つ一つの行動が可愛い。 あたしもはやくほしいとか思ってみたり……って。
忘れてた。あたし、迷ったんだ。
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