オレンジ色の奇跡


「………?」

 首を少し傾けている相川。

 今、しかないよな……?

 今、伝えなかったらいつ伝えるんだ?

 ぐずぐずしてたら、他の男にとられるかもしれない。

 他の男の腕の中にいる相川を想像しただけで………。

 その男を殴ってでも自分のモノにしたくなる。

 俺って独占欲強いな………。

 俺は、一度大きく深呼吸した。
 もう一度息を吸って、

「…………俺、相」
「あっ!いたいたっ!おーい、啓輔ぇ!舞希ちゃあんっ!」

 レジの所で大きく手を振っている男と、その隣で恥ずかしそうに下を俯いている女。

 自分たちに気づいたことを確認してから、また店員と話している様子が分かる。

 それにしても、あの男は間が悪い。

 狙っているとしか言いようがないくらいだ。



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