オレンジ色の奇跡
◆……
「ねぇ?舞希ちゃん……。
梨海ちゃん、なにか企んでないかな?」
神崎先輩に連れられた優衣は、申し訳なさそうにあたしの隣の椅子に腰掛けた。
梨海が何かを企む………?
そんなのいつものことだし、どうせ対したことないのだろうと思ったが、あまりにも優衣が心配そうな顔をしていたもんだから思わず笑ってしまった。
「あははっ!優衣何言ってるのよっ!そんなの、対したことないって!
………あっ、そういえば、岩佐先輩さっき何言おうとしてたんですか?」
神崎先輩にかき消された岩佐先輩の声を思い出した。
神崎先輩が来ていなかったら岩佐先輩はなんと言っていたのだろうか?
「あっ………いや、なんでもない」
“なんでもない”と言いながら少し困った様な笑顔を見せ、炭酸がぬけて甘くなっただろうコーラを飲み干した。
「舞希ちゃんってお兄さん二人だよね?」
「はい。神崎先輩は?」
「俺、一人っ子。優衣は?」
「私も兄弟はいません」
そういえば………。
岩佐先輩ってお兄さんがいたような………。
この前晴兄と話してなかったっけ……?
「岩佐先輩は、お兄さんがいるんですよね?
前に、家来たとき晴兄と話してた気がしたんですけど…」
「ん?あぁ、いるよ。晴樹さんと同い年で親友らしいよ」
「お前、舞希ちゃんの家行ったのかっ!!」
「………だからなんだよ、うるせぇなぁー」
本当に、めんどくさそうに岩佐先輩は首の後ろを掻いていた。