オレンジ色の奇跡
「……えっ?」
「ジョンの5年間の想いにたいしての答えよ。」
5年間も誰かを想うってどんな気持ちなんだろう…?
想像すらできない。
隣を見ると相川は、俯いている。
それを見た七瀬は、軽くため息をつき相川の前に両膝をつき、相川の頬を両手で包み視線を合わせるように顔をゆっくりと前に向けさせた。
「舞希が、思っていることを伝えなさい。そうすれば、どんな結果でもジョンは納得してくれるわ。
あたしは、舞希が幸せになれるのならどんな選択でも祝ってあげるつもりよ」
とても穏やかな表情で笑う七瀬は“綺麗”という表現が一番だと思った。
“綺麗”と言っても色んな意味で、だ。
その後、ふわりと相川を包みこむように抱きよせた。
「…先輩方、そろそろチャイム鳴りますけど」
教室の時計を見れば本令が鳴るまであと三分。
祥也も椎葉を解放して軽く伸びをしていた。
「戻るぞ、祥也」
「はーい」
祥也の乾いた返事を残して俺たちは、3年の自分たちの教室へ足を運んだ。