オレンジ色の奇跡


◆……

 綺麗な夕日が、窓から差し込み教室をオレンジ色に染めている。

 誰もいなくなった教室にひとり窓側の一番後ろの席に座り掃除によってきれいになった黒板を見つめた。

「…………5年、か」

 あたしは、昼休みに起きたことを考えていた。

 ホントは、家に帰って考えても良いのだが、あのお兄ちゃんたちがいるなかひとりになって静かに考えることは難しい、と思い下校時間まで教室で考えることにしたんだけど……。

 ―――5年

 あたしだったらそんなに想えるだろうか……?
 お互いの気持ちが、通じ合っているのであれば可能だが、話が違う。

 しかも、その5年という月日の中、あたしはどれだけジョンを傷つけてきたのだろう。

 本当のことを言うならば、これ以上ジョンを傷つけたくない。

 だからと言って、付き合う、というのもジョンのためにも、あたしのためにもならない。

 どっちみち、ジョンを傷つけてしまうのだろうか………?

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