オレンジ色の奇跡
◆……
教室がオレンジ色の夕陽で染まる中、岩佐先輩があたしの瞳を見つめる。
岩佐先輩の甘く優しい声が頭に響いてなかなか思考が回復してくれない。
「……好き…?先輩が……あたしを?………夢…?」
頬っぺたをつねってみれば、痛い、という感覚があたしを襲う。
「夢なんかじゃねぇよ。……俺は舞希が好きだ。何回でも言ってやるよ……」
夢じゃない………?
止まっていた思考が働きはじめれば、今度はあたしの気持ちを伝えなければならない。
むしろ、伝えたいと思うほどだが“好き”と緊張してなかなか伝えられない。
そんな自分に苛立ちを感じ俯けば、
「………舞希?ごめんな?でも、あきらめねぇから…」
あたしが何も言わずに俯いたため、岩佐先輩は勘違いしてしまったらしく、ポンポンとあたしの頭を撫で立とうとした。
このままだと、あたしの気持ちを伝えられなくなってしまう。