オレンジ色の奇跡


「いいからはやくして?電話に出たら『先輩今何処にいますか?』って甘い声で聞いてっ!」

 なんでそこで甘い声なのよっ!

 ツッコミたいところだけど、はやく電話をしろ、という梨海の視線に耐えられず渋々岩佐先輩に電話をかけた。

『もしもし?』

「あっ!も、もしもし?舞希です」

 電話越しだかなんだか耳元で岩佐先輩に話されている気がして心臓がはやくなる。

『あぁ』

 梨海を見れば“はやく聞け”と口が動いていた。

 何のために聞かなくてはならないのかまったく見当もつかないまま。

「先輩…今何処にいますか?」

 梨海のご要望だった甘い声など出せるはずもなく、いたって普通に聞けば、

『ん?カフェの前だけど?』

「えっ?!」

 びっくりして立ち上がりそのまま振り向けば電話を片手に持ちながら神崎先輩を膝蹴りしている岩佐先輩の姿があった。



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