オレンジ色の奇跡
◆……
「……啓輔、痛ぇよっ!何でそんなに怒るんだよ?ただ俺は、啓輔から舞希ちゃんへの愛の歌を口ずさんでただけだろ?」
「聞こえたらどうするんだよ!」
携帯を押え、なるべく小さな声で祥也を睨み付けながら言えば、
「いいじゃん、これがきっかけで付き合えば」
俺はまだ祥也に相川に告ったことと相川も俺と同じ気持ちだったことを言っていない。
言おうと思っているのにタイミングがつかめない。
今、言うかな……。
「祥也…俺、相川と付き」
「あっ!」
「てめぇっ!人がせっかく」
「あれ、舞希ちゃんだよ!あっ!優衣もいるっ!」
祥也を指さしている方向を見れば立ち上がって携帯を片手に持ちこっちを見ている相川の姿。
俺は、押えていた携帯を耳に持っていく。