オレンジ色の奇跡
◆……
「ちょっ!梨海っ!なんで呼んじゃったのよ!」
「しかも、神崎先輩まで………私まだ、クリスマスのこと言ってないのに………」
「「まだ言ってなかったの?!」」
「…………あ、うん。ちょっと言いにくくて」
「はぁ………だって今日15日よ?」
「うぅ………」
クリスマスか………。
ってあたしも、もしかして関係あるよね?
プレゼント買ったり?
選ぶの楽しみだったり……。
「舞希ニヤけてるわよっ」
「えっ?!う、うそっ!」
急いで顔を両手で覆えばカランカランとカフェの扉が開き意外にも岩佐先輩が先に入ってきた。
「…よっ………」
軽く頭を掻きながらあたしたちの席に近づく岩佐先輩を見て、思わず頬が緩む。
「けーすけっ!ちょっとは待ってくれたっていいじゃんっ!」
その後に続いて神崎先輩が入ってくれば、一目散に優衣に抱きついた。
「ゆーいーっ♪!」
「かかかかか神崎先輩っ!!!!
や、やめて下さいっ!恥ずかしいですっ!!」
カァァァっと顔を赤くして、神崎先輩から無理矢理離れれば、優衣は背中を向けて座った。
「ごめん、ごめん」
と言いながら優衣の頭をポンポンと撫でる。
それが少し羨ましいなと思いチラッと岩佐先輩を見るとちょうど目が合い、口角を少し上げ微笑む。
「……二人のときな」
そんなこと言われるとは思っていなくて………。
だからこそすごく嬉しかった。
「……はいっ!!」
やっぱり頬が緩むのはしょうがないこと。