オレンジ色の奇跡
あたしたちは6人掛けの席に移動することにした。
移動中、神崎先輩が、
「ねぇ……なんで、啓輔と舞希ちゃんって仲良いのに付き合わないの?」
「「「えっ?!」」」
いまさら何を言っているのだろうかという視線であたしと梨海、優衣が見れば、
「何?俺、変なこと言った?」
4人の視線は一斉に岩佐先輩に向けられた。
「あ…………」
「…先輩――神崎先輩に言ってないんですか?」
恐る恐る聞けば「あぁ…」と何とも曖昧な返事。
言いそびれたのか、言いたくなかったのか………。
岩佐先輩のことだから前者だと思うが後者ならば問答無用でビンタでもしてこの場から去ってやろうと思った。
「相川……言いそびれただけだ」
良かった、と心の中で安心していればグイッと肩を引き寄せられた。
あたしは、岩佐先輩の片腕に包まれ小さくなっている状態。
さっき“二人のときな”って言いませんでしたか?
あたしの心臓壊れますよ?
「……祥也、俺……相川と付き合ってる」
さらっと述べてから「な?」とあたしに同意を求められたためコクッと頷いた。