オレンジ色の奇跡
異様な雰囲気を漂わせながらも梨海がふるふると震えているのに気づいた。
「梨海……?梨海を離してっ!」
「…梨海ちゃん」
あたしの後ろにいる優衣も、心配そうに梨海を見つめている。
「………た………いよ」
「梨海、何ですか?」
真面目そうな男は、梨海に優しく問いかけた。
「馬鹿耕太っ!離しなさいよっ」
梨海は、男の腕からするりと抜け振り返り声をあげる。
「なぜ馬鹿呼ばわりされなくてはいけないんですか?」
冷静に、馬鹿と呼ばれたことに対して怪訝そうに梨海を見つめる。
回転の遅い頭を必死にフル回転させれば梨海の言い放った名前が引っかかった。
「「こっこうたあ!!?」」
優衣も同じことを考えていたのか、同時に口を開き二人を見て瞬きをする。
耕太って梨海の彼氏?
なんでここにいるの?
突然のことに優衣と一緒に呆然としていれば、
「「誰?」」
岩佐先輩と神崎先輩の声が横から聞こえた。
知らぬ間に隣に来ていたらしい。
「はぁー…。何で?何でここにいるの?」
「今日、梨海とどこか行こうと思い携帯に掛けたんですけどね?
梨海が携帯に出てくれなくて暇になったので、そこら辺で車を走らせていたら、梨海がこのカフェにいるのが見えたので」
「だからって驚かさなくてもいいでしょっ!!」