オレンジ色の奇跡
「り、梨海?ちょっといい?」
「あ……ごめん。何?」
「“コウタ”って……梨海の彼氏?」
「そっか、紹介してなかったね。えぇっと……あたしの彼氏、耕太」
淡々と耕太さんを紹介する梨海。
想像とはかけ離れた人だが、悪い人でもなさそうだ。
「はじめまして、梨海の友達の舞希です」
「同じく優衣です」
「はじめまして、いつも梨海がお世話になってます。舞希さんと、優衣さんですね。
それで、こちらの軽そうな男と金髪不良男は、どちら様ですか?」
耕太さんは顎で神崎先輩と岩佐先輩を示した。
それにしても、もっと他に言い方はなかったのだろうか。
もう少しオブラートに包んで言うとか……。
それに、“悪い人ではなさそう”じゃなくて“悪い人でも良い人でもなさそう”だ。
「まぁ、良いですが。それで、何していたんですか?彼氏の電話にも出ないで」
良いですか……。
流すんですね、ご自分で言ったことを。先輩方、呆然としてますけど。
気になさらないのですねっ!
「後で話すから……それより、さっきこの辺をドライブしてたって言ったよね?
ってことは、今車あるの?!何人乗り?」
「後で、ですからね?……えぇ、車ありますよ。
今回は、7人乗りですけど……もしかして――」
今回は……ってどういう意味なのかすごく気になる。
車を何台も所有してるとか?
この人は謎だらけだ。