オレンジ色の奇跡
◆……
「はぁ………」
「啓輔ため息うるさい。優衣寝てるんだから」
バッと振り返った祥也は、目をまん丸くして見ていた。
「ため息の原因は舞希ちゃんか……」
「あぁ……俺、どうすればいいんだよ。まじ、慣れてねぇからさ……」
「いいじゃん。優衣なんか俺より窓だよ……」
椎葉は、少し祥也から離れて窓に頭をあずけていた。
「これもこれできついけどな…」
「まぁ、そうだけどね」
「後ろの野郎共、人の車でお嬢さん方を襲わないでくださいね」
襲うとか襲わないとか……、その前に人の車って言っても、
「「……レンタカーのくせに」」
「何か言いましたか?今ここで車から飛び降りていただいもいいですよ?」
バックミラー越しの黒い笑みに背筋がゾクゾクとした。
コイツなら俺たちを蹴り落とすくらいやりそうだな…。
……それより。
コイツどっかで見たことあるな…。
車に乗った時のあのタバコの匂い……。
誰だったっけ?