オレンジ色の奇跡


「ケースケ、ヤクソクシロ」

「あ"ぁ?何だよ、約束って」


「マキヲ、ハナスナ。ナニガ、アッテモ、ゼッタイニ」


 ジョンの温もりを感じながら右耳からはくぐもった声、左耳からはだいぶ上達した日本語が届く。

「……ばーか、んなん離さねぇに決まってんだろ。
舞希が離れようとしても、ぜってぇ離さねぇ」

「オトコニ、イゴンハ、ナイナ」

「ハハッ!男に二言はない、だろ?」

 力が入っていた腕が緩み、両肩を押され身体が離れた。

『舞希……良い男見つけたな。
大丈夫、コイツなら認めてもらえるから。もし、認めてもらえなかったら俺がちゃんと話してやる。だから、安心して日本にいろ』

 ジョンは、あたしの目を見て微笑んでいた。

「……っ…ジョン――」

『泣くなよ?俺は、お前の泣き顔なんて見たくねぇ。泣くんならアイツの前で泣け』

『……ありがとう、ジョン。今度…アメリカに行くからね』

 急に背中が温かくなったと思い振り向けば、

「アメリカ行く時は、俺も行くからな」

 岩佐先輩の身体に包まれていた。

「…ケースケ、クンナ」

 冷たい口調で言い放った後口角を上げて笑っていた。



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