オレンジ色の奇跡
『ジョン〜時間よ〜?行きましょ?』
『時間だってさ。じゃぁな』
クルッと向きを変えリサに連れられて搭乗口へ歩いていくジョン。
リサとジョンの姿が見えなくなるところまで見送ると、ふ、とさっき岩佐先輩が言った言葉が気になった。
「…先輩……さっき言った言葉……本当ですか?」
「ん?さっきって……?」
とぼけているのか本当に忘れてしまったのか……。
振り返ろうと思ったが、後ろから抱きしめられていたことを忘れていた。
一歩前に出て先輩の腕が緩んだのを見計らって振り返る。
「だから!あたしを………離さないとか…」
自分で言っておいて恥ずかしくなる。
でも、どうしても聞きたかった。
昨日も言っていた気がしたが、その場の雰囲気で言ったものではないと確信したい。