オレンジ色の奇跡



「……………」

 何も言わずただ岩佐先輩は自分の顔を大きな手で覆った。

 勢い良く空気を吸い肺に送り込む。

「…昨日も今日もウソ……?」

「んなわけねぇだろっ!!」

 あたしが言ったことに驚いたのか顔を覆っていた手を退かしていた。

「……あっ……」

 岩佐先輩はウソなんか言っていない。

 その顔を見れば分かる。
 あたしはギュウッと抱きしめてからすぐ離れた。

「先輩、顔真っ赤っ!」

「しょうがねぇだろっ!思い出したらスゲー恥ずかしいこと言ってたんだからよっ!!」

「「うわっ……真っ赤だ」」

 声がする方へ向けば、神崎先輩と耕太さんが気持ち悪そうに見ている。

「るせぇっ!」

 岩佐先輩はキッと二人を睨み付けた後、再び顔を手で覆いスタスタと空港の出口に向かって歩いていった。


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