オレンジ色の奇跡
唇を塞ぎながら片目を開けて舞希を見れば、驚いてなのか目を見開いて固まっていた。
その様子があまりにもおもしろくて、笑いながら舞希を解放すれば、
「……………」
パチパチと音が出そうなほどの瞬きを繰り返していた。
舞希の顔に手をかざして右左と動かす。
「はっ!!」
「おーい。戻ってきたか?」
「っ!!!!」
いきなり真っ赤になって俯く舞希。
「啓輔〜。ココ空港だよ?しかもみんないるんだけどなあ」
「もう少し周りのことも考えて頂かないとこちらが困りますよ?」
「げっ」
祥也とウタが俺の両脇に立ち腕を組んでいた。
「あーあ。舞希ちゃん真っ赤だよ。どっかの誰かさんの所為で」
「周囲の視線が痛く感じるのは俺だけですかね?さっさと帰りませんか?
こちらもこちらで、美味しそうな餌を捕らえたのですぐに食べたいな…と」
「「…旨そうな餌ねぇ」」
祥也と同時に七瀬を見れば、七瀬も驚いているようだった。
「こっ耕太!」
「さっき、梨海から飛び付いてきたのは“食べてもいいよ”っていうサインじゃないんですか?
まぁ、俺はそこにいる盛りのついた野郎共と違い我慢出来なくなって襲うことはありませんが」
「〜っ!
………耕太次第なんじゃないの!?」
「じゃぁ、早く帰りましょう」
即答からして、俺らと何ら変わりのない盛りのついた野郎だろ。
視線を、ウタと七瀬から舞希に移せばまだ真っ赤のままつったっていた。