オレンジ色の奇跡
「あ……」
壁に寄りかかる体を起こした金髪不良男は、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
「一昨日はどうもありがとうございました。 助かりました」
「ああ、別に。 ちゃんと帰れたか?」
「はい!おかげさまであたしは帰れたんですけど……そのケガは――」
「別に大したことねぇから」
口元の赤いやつ……晴兄がよく赤くなってたの見たことある。やっぱり、一昨日、殴られたのかな? 口元以外何ともなさそうだけど……。
「なになにぃーっ。啓輔、こんな可愛い子と知り合いだったのーっ? どうして教えてくれなかったのさ!」
笑顔の神崎先輩に嫌そうに顔を歪める岩佐先輩。
「知り合いっつーか、なんつーか」
岩佐先輩は小さく呟きながら頭を掻いた。