オレンジ色の奇跡
「ま、舞希!あぶねぇじゃ……っ!!」
気づいた時にはもう舞希の顔が視界いっぱいに広がっていた。
唇がじんじんと熱を放っているのが分かる。
やっと頭が働き始めたころ、舞希の顔が俺から離れた。
舞希からキスしてくるとは思っていなかったため、じっと舞希を見つめれば、
「……ダメでした?」
と言いながら、頬を紅潮させ俺から視線を外す。
「そんなわけねぇだろ。ほら、今度こそは帰るぞ」
舞希の手を握りそのまま歩きだした。
「なぁ……」
「……はい?」
「今度、どっか行かねぇか?」
「どっかって?
……先輩、デートですか?」
「…まぁな。舞希とどっか行ってみたいっていうのもあるけどな」
舞希は「うーん」と唸りながら、空いている方の手を顎に添えた。