オレンジ色の奇跡
躊躇(ためら)わずに頭を下げている岩佐先輩をかっこいいと思った。
あたしのためにここまでしてくれる………。
いや、あたしのためじゃない。先輩は自分自身のために頭を下げているんだ。
だったらあたしも自分自身のために頭を下げよう。
スッと立ち上がり先輩の横に跪き頭を下げた。
「…日本に来たときから危険な目にあうかもしれないなんて覚悟してた。
先輩だけじゃなくて相川兄弟の妹だから危険な目にあうかもしれない。
……そんなこと分かってる。
あたしの所為で先輩を傷つけてしまうかもしれないことも。
分かっててもダメなの…。あたしには先輩が必要だって――
だから……」
「「アハハハッ!!」」
二人分の乾いた声がリビングに響いた。