オレンジ色の奇跡


 どうしようもできないこの気持ちをどうやって沈めろというのだろう。

 両手に握りこぶしを作り正座をしている太ももの上に置きじっとその塊を見つめる。

 認めてもらえて嬉しいのだけれどなんだかやりきれない。

 まんまと騙された気分。

 なのに、お兄ちゃん達には感謝の気持ちが膨れ上がっている。
 たぶんそれは、見ないようにしてきたことを、きちんと見させてくれたからだと思う。

 それでも、込み上げるものにあたしの制御は利かない。

「………舞希?どうしたー?」

 優しく問い掛ける晴兄の声により、ぷつんと糸が切れた。

 もう…だめと思ったときには握っていた右手のこぶしに涙が落ちている。
 それを隠すように、左手を乗せるが切れてしまった糸は元に戻らない。

 ふわっとした温かさが背中の真ん中辺りを襲う。
 チラッと右斜め下を見ると腕が伸びているのが分かった。

「舞希………」

 大好きな人があたしの名前を呼ぶ。

 低く耳に残る声は、あたしの涙腺の崩壊に拍車をかけた。


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