オレンジ色の奇跡
頭に重みを感じながらもずんずんあるく岩佐先輩についていくしかないあたし。
グッと首に力を入れて少しだけ前を見るとちょうどあたしの部屋の前だった。
きっと岩佐先輩は止まってくれるだろうと思っていたのだか、それはただの思い込みだった。
「…ちょっ!先輩っ!ストップ!」
「……なんだよ。やっぱ行かない、とか言いだすのか?」
「違います!あたし、手ぶらなんですよ?
部屋にあるんで取ってきますから、ここで待ってて下さい」
「え、やだ。俺も行く」
「な、何でですか?!き、汚いから入らないで下さい!」
「前に泊まったときちゃんと部屋見れなかったから、見たい」
「普通の部屋だったじゃないですか!
……って、あぁーーっ!!」
すでに岩佐先輩は、ドアを開き部屋に一歩踏み出していた
「入ってもいい?」
それでも、少しだけ振り向いてあたしに確認を取る岩佐先輩がどことなく可愛くて…。
というか、すでに入ってますよー。
「…どうぞ」
岩佐先輩は、少し微笑んだあとあたしに背を向け部屋に入っていった。