オレンジ色の奇跡



「朔兄も言ってたけど、本当に命だけは大切にしてね?」

「あぁ。分かった。約束するよ」

 本当のことを言ってしまえば、凄く怖くてたまらない。

 大好きな人と大好きな家族といるだけで危険な目に合ってしまうかもしれないなんて……。

 どうしたら理解できるのだろうか?いや、絶対に理解できないだろう。

 怖い怖い怖い怖い………

 そんな気持ちに心が押し潰されそうになり涙も溜まる。が、決して涙を零してはならないと思い、岩佐先輩の服をきつく握り、唇を噛みしめる。

「…………舞希」

 普段より甘い声で呼ばれ、大きな胸板に埋めていた頭を上げ岩佐先輩の顔を見上げた。

 少し身体を離し、しばらく見つめ合った後、岩佐先輩の顔が近づいてくる。

 それに合わせてあたしは目を閉じれば、唇に柔らかい感触。


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