オレンジ色の奇跡
「はあ……祥也、てめえっ」
「っあ! 舞希ちゃん彼氏は? いる?いない?」
えっ? えっ? 神崎先輩、岩佐先輩のことスルー? お、面白すぎるっ!
「えっ? いないですよ!」
「おいっ! 啓輔っ! 喜べっ!舞希ちゃん彼氏い――」
「るせえ、黙れ」
さっきの睨みとは比にならないくらい凄みの利いたそれはさすがに神崎先輩の口を止めた。
「……優衣ちゃん。啓輔が怒った」
そこで優衣……って未だに解放されてなかったか!
「……神崎先輩いい加減離して下さい」
優衣も優衣で顔真っ赤にしながらも怒ってる様子。
「優衣可愛いわっ! きっと心臓爆発しそうなのよ!神崎先輩に、心臓の音が聞こえるじゃないかってすっごく気にしてるのっ。 だから、離してだなんてっ! 神崎先輩もっときつく抱きしめてあげて!」
なーんて梨海が、はしゃいで言うもんだから笑い堪えるのに必死。
「優衣が聞いてたら怒られるね」
あたしと梨海が微笑ましく見守っていると優衣が、
「……神崎先輩。そろそろ授業が始まりますので、当然、離していただけますよね?」
ピシャッと言って半回転。下から神崎先輩を見上げた。