オレンジ色の奇跡
あぁ、もう。
なんて恥ずかしいことを言っているのだろう。
顔がどんどん紅くなるのを感じながらも、自分から顔を近づけ岩佐先輩の唇に触れた。
その場で岩佐先輩と見つめ合うことなんてできない。さっきまで力が入らなかった両足に力を入れ立ち上がりベッドの上に置いてあるショルダーバッグを取りに向かった。
ベッドの上に置いてある控え目なデザインのショルダーバッグを手に取り振り返ると、岩佐先輩はいまだにしゃがんだまま。
「先輩?どうしたんですか?」
「…………」
あたしが見ているのが分かったのか、顔を手で覆っている。
その手が邪魔で岩佐先輩の表情が分からない。
「せーんぱい?」
顔を覆っている手首を掴み表情を見ようとすれば、
「………っ!見んなっ」
手首を掴んでいるあたしの手を引っ張りぽすっと岩佐先輩の胸に沈んだ。
「えっ?」
「……俺をあんまり喜ばすなよ。
俺だって男なんだぞ?我慢できなくなるっつん……」
はぁーとため息と同時に言う岩佐先輩の顔を盗み見ると、少し頬が赤くなっていた。
「……ふふっ。先輩顔赤い……」
「あっ……。見るなって言っただろ?……はぁ、行くぞ」
「あとちょっとだけこのままがいい………」