オレンジ色の奇跡


 岩佐先輩の腕の中はすごく安心するものでいつまでもこの中にいたいと思ってしまうほど。

 デートにも行きたいが、今はこの時間が大切にしたいという気持ちから我儘を言ってみた。

「はぁー。俺言ったよな?我慢できなくなるって……。
別にこの場で襲ってもいいんだぞ?」

 そんな言葉を聞きいていると、視界が回って背中には床の冷たい感覚。

「どうする?朔真さん達いるけど……」

「…っ!……えっ……ちょっ」

 あたしの返答も待たずに首もとに顔を埋めゾクッとする感覚があたしを襲う。

「………ひゃあっ…」

「馬鹿……、煽るな……」

「…だって……」

 はぁーとため息をつきながらあたしの上から退き、

「まじ止まんなくなるだろ」

 あたしを起こしながら呟いて「じゃあ、行くか?」と笑顔で言われた。

 そんな岩佐先輩の表情に、あたしの顔が赤くならないわけがなく、パッと目を逸らし頷けば、

「誘ってんの?」

「違う!」

 一生懸命首を横に振り立ち上がり部屋を出た。



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