オレンジ色の奇跡


◆……


「ふぅー」

 口から白い煙を吐きながら窓の外を眺める男。

「晴樹、家ん中で煙草吸うなよ」

「ん?あぁ、そうだな。
舞希に『部屋が臭くなるっ!』って怒られるな……」

 ふっと目を細めながら煙草の火を灰皿に押しあて消す。

「なぁー、晴樹……。
いつまで舞希は、俺達に笑顔を向けてくれるかな………」

「きっとあの事を知ったら、離れて行くんだろうな」

「正直に話したほうが良いと思うか?」

「正直に話したところで俺達が嫌われるだけなんだよなー」

「でも、あの事を知るときはそう遠くない。
他人から聞くよりは、俺達の口から言わなきゃだよな……」

 朔真は額を手で覆い、はぁーと長いため息をついた。

 どうせ知られてしまうことなら早めに知らせてしまえばいい。
 しかし、知らせてしまえば相川兄妹に亀裂が入ってしまうだろう。


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