オレンジ色の奇跡



 今まで隠し通してきたことを話すとなるとどれほどの勇気が必要になるのか。

 なるべくなら、舞希には知られたくない。

 自分たちの大切な妹をわざわざ傷つける必要があるのか?
 また、舞希が傷つくのと同時に自分たちも傷つくことになるのは、目に見えている。

 舞希は今、啓輔しか見えておらず周りのことを気にしていないのは自分たちにとって好都合だ。
 だが、いずれ啓輔との間にも余裕が出てくれば周りのことに気づくはず。

「サク……。俺さすでに舞希の『朔兄と晴兄なんて大嫌いっ!』って頭ん中でいっぱいなんだけど」

「確かに……。『顔も見たくないっ!』って叫んでるのが目に浮かぶな……」

「どっちみち、良い方へは転ばねぇーな」

「覚悟しとくかな………」

 朔真は、自分の顔を二度ほど叩きやってくるだろう嵐に気を引き締めた。







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