オレンジ色の奇跡
結局、飲食店に向かう途中途中で舞希が、気に入った店に入ってしまったため、飲食店に入ったのは一時間ほど経ってから。
それでも楽しそうにしている舞希を見ると自然と許してしまう。
飯を食べ終わり店から出て再び歩きせば、
「……先輩、楽しいですか?」
少し沈んだ表情の舞希が変なことを聞いてきた。
色んな舞希の表情を見れたことが嬉しくて、楽しくて……。そんな風に感じていた俺にとって、ものすごく違和感のある質問。
「ん?舞希は楽しくねぇの?」
もしかしたらと思い聞き返せば、
「あたしはすごく楽しいんです。
でも……、あたしばっかり楽しんでいる気がして。だって先輩『あのお店行きたい』とか言ってないから……」
「すっげー楽しいけど?」
「ホントに?」
「あぁ。
……じゃあさ、あそこの店に行ってもいいか?最後に行こうと思ってたんだけどさ」
俺が指差した店は、雑貨屋。
雑貨屋って言っても男女が入りやすい様な店構えをしていて、アクセサリー類の小物から生活用品を扱う店だ。
「行きましょっ!」
パァッと明るくなった舞希を連れ店へ向かった。