オレンジ色の奇跡
ふと、我に返ると男一人が口元を緩めアクセサリー売り場にいるのが恥ずかしくなり、男物が売っている場所へと移動した。
「あ……」
俺の目線の先にはシンプルだが暖かそうなマフラーがあった。
手にとって肌触りなど確認し、じっとマフラーを見つめる。
コイツが欲しい。喉から手がでるほど欲しい。
………でも、舞希へのプレゼントを買うため、今の俺の財布は限界だ。
こんなことなら金を卸しておくんだったな、と後悔しつつ棚に戻し舞希の姿を探す。
「舞希?」
「見てみて!」
パッと振り向く舞希は、ベージュに白ドット柄のキャスケットをかぶっていた。
「似合う?」
「あぁ」
「ホントに?」
「本当、よく似合ってる」
キャスケットの上から頭を撫でると「えへへ」と嬉しそうにはにかみ、
「これ買っちゃお」
そう呟いてレジに向かった舞希を見てあのアクセサリーを取りに行った。