オレンジ色の奇跡


 あ……、超美人なお姉さん。

「岩佐先輩、この人が110番してくれたんですよ?」

「げっ!」

 露骨に嫌そうな顔をした後、あたしの目の前には岩佐先輩の大きな背中が広がっていた。

「え?何やってるんですか?」

 なんなんだ、この状況。
 もしかして、昼間にやってるドロドロっとしたドラマの再現みたいな?

 三角関係ってやつですか?

 ……あたしが隠されてるってことは、あたしが浮気相手?

「………啓輔、後ろに隠した子って、もしかして―――」

「違っ!お、俺のいとこ!」

 ふーん。
 あたしは、岩佐先輩のいとこですか。そういう存在なんですか。

「何、嘘ついてるのよ。
私に嘘つくなんて100年早いのよっ!」

 ふつふつと怒りが沸いてくる。

 ムカつく。
 なんなのよ、こんな綺麗な人がいるのにあたしに手を出すなんて……。

 ぎゅっと岩佐先輩の服の裾を掴んだ。



< 228 / 438 >

この作品をシェア

pagetop