オレンジ色の奇跡
「……んぅ?」
ふわっとしたいい香り、そして、この柔らかい感覚。
………柔らかい?柔らかいって、アレですよね?
「んーっ!可愛いっ!」
「ふぇ?」
腕を掴まれぶんぶんと前後に振られ、再びぎゅうっと抱きしめられる。
「おい、離せクソ女」
「嫌よ。やっと会えたんだから」
うーん、気持ちいい。
岩佐先輩とは全然違う。
…ちょっと待てよ。
この人は、岩佐先輩の彼女じゃないの?だとしたら、あたしは疎ましい存在ではないのか。
「あ、あの……」
「なに?相川ちゃん」
「舞希、そんなヤツと話すな。汚れる」
「私をバイ菌扱いしないでくれるかしら」
「されたくなかったらとっとと離れろ」
「先輩はちょっと黙ってて下さい」
「私の勝ちね。
それで、何?相川ちゃん」
「あの…、その…。
……ご…ごめんなさいっ!
あたし……。貴方みたいな綺麗な方と岩佐先輩が付き合ってたなんて知らなくて………。だからっ」
「舞希、それ以上言ったら許さねぇからな」
明らかに不機嫌そうな岩佐先輩。
今、不機嫌になりたいのはあたしの方なのに!