オレンジ色の奇跡
ネームプレートの反射がなくなり書いてある名前が見える位置まで近づいた。
あたしは、目を細めてネームプレートを見ると、
「“岩佐”?………って、え?先輩のお兄さんっ?!」
「はぁ…はぁー」
「だらしねぇな。そんなくらいで息上がってんじゃねぇよ」
「どっから走ってきた、と、思ってるんだよ」
「とりあえず、兄貴、コイツに湿布貼ってやって」
「んぇ?コイツって……、この可愛い子?!」
「そんな、可愛いくな」
「そうよ。大輔さん、この可愛い子。
残念ながら啓輔の彼女」
後ろからギュウっと抱きしめ頭を撫でる千紗さんに「ちっ」と舌打ちをする岩佐先輩。
「け、啓輔の彼女?!うそだっ!」
「…相川舞希です」
「うえっ?!晴樹の妹っ!?」
「そ、そうです……」
大輔さんって晴兄の親友なんだっけ?
それより、なんでこんなに驚かれるんだろ?
大輔さんは「そっか、そっか」と頷きながら、近くの一室にあたし達を案内した。
「救急箱とか持ってくるから待っててねー」
にっこりと微笑んでから部屋を後にする大輔さん。
うん、似てるな。岩佐先輩と大輔さん。
あたしのお兄ちゃん達は全然似てないのに。