オレンジ色の奇跡
「だからっ!
先輩が千紗さんを、一人の女性として見たことはないのかなって…」
「ない」
「へ?」
「思ったことなんてねぇよ」
「そう…ですか?」
「俺を疑ってるわけ?」
ズンッとあたしに迫る岩佐先輩。
そんな岩佐先輩から逃げるようにあたしも後ろに下がる。
後ろに下がってもどんどんと迫ってくる岩佐先輩とのキョリが縮み、あたしは両肘で体を支える状態になっていた。
「いや、別に!疑ってるなんて」
「じゃあ、嫉妬か?」
「や、やきもち?!」
「そうだろ?」
トン、と肩を押され背中が椅子にくっついた。
か、顔が近いですって!
ふっ、と笑った後、岩佐先輩の右手があたしの頭を固定し、左手は、あたしの左手を握った。
「…………んんっ」
ふぁっと岩佐先輩の顔が降ってきて唇を塞ぐ。
…うん。きっとやきもちだ。
岩佐先輩のことが好き過ぎて、あたしだけを見てほしくって……。
可愛くないな、あたし。
今、すごくわがままだし、甘えたい。
離したくない、なんて思ってる。
だんだんと深くなるキスに、何も考えられなくなった。