オレンジ色の奇跡
「じゃあ、先輩が家族の話をしてくれたんで、あたしも…」
「兄弟は知ってるけど?」
「ううん。そうじゃなくて。
……先輩は、“エーアンドケー”って知ってます?」
「エーアンドケー?ジュエリーショップの?」
「うん。アレ、お父さんが社長で、お母さんがデザイナー。
エーアンドケーってアルファベットのAとKでしょ?
相川の相のAと川のKで、“AandK”なんだよー」
「………さらりと言ったな、お前は」
「そう?まぁ、お兄ちゃん達は結構大変だった言ってたけど」
「俺と同じだな、一時期荒れた理由は」
「ふふっ、理由は……?」
「悪かったな、一時期じゃなくて現在進行中で」
「………っ」
「笑いたかったら笑えば?」
「……ぶっ!アハハハッ!!」
「笑いすぎ」
「だって!」
岩佐先輩から身体を離し、お腹を抱えて笑っていると、頭上からため息が聞こえた。