オレンジ色の奇跡
目じりに溜まった涙を拭いながら顔を上げると、立ち上がっている岩佐先輩に腕を引っ張られ、強制的に立ち上がる。
「そろそろ帰るぞ」
「お兄ちゃん達に、怒られるかもねー」
「うえ"。まじ?」
「しーらないっ!」
ぎこちなく歩きドアを開くと、
「ほら、荷物」
「このくらい持てる」
「俺がヤなんだよ。貸せ」
ひったくるようにあたしが持っていた荷物を取る。
ふふっ、優しいだか優しくないんだか。
ううん。岩佐先輩は優しい。
ほら、ね。あたしがしっかり歩けるように、あたしの腰に手を回して一緒に歩いてくれる。
岩佐先輩にバレないように頬を緩ませた。